« ケンブリッジ訪問 | トップページ | 雨のハイド・パーク »

2009年12月29日 (火)

コヴェント・ガーデンの『ラ・ボエーム』

まつこです。

コヴェント・ガーデンのロイヤル・オペラ・ハウスに行ってきました。プッチーニの『ラ・ボエーム』です。クリスマス・イヴの寒い夜に出会って一目で恋に落ちる若者たちの悲恋の物語です。結核で若い命を散らせる悲劇のヒロインミミを演じたのはヒブラ・ゲルズマーワ。ふっくらとした健康的な容姿で、見た目は病弱のはかなさとは連想しにくいのですが、抜群に美しい声でした。つややかで柔らかく、しかも安定感がある歌いぶりです。

Photo[あこがれのロイヤル・オペラ・ハウスでご満悦のまつこ]

指揮はラトビア出身のアンドリス・ネルソンズ。バーミンガム市交響楽団の首席指揮者になった気鋭の若手とのこと。たっぷりと音楽を鳴り響かせていました。

うめぞうと二人、満足しきってオペラ・ハウスを出ようとしたとき、"romanticized poverty"という言葉が耳に入ってきました。背の高いいかにも怜悧そうな若い女性が、とてもきれいな気取った発音の英語で、「要するに貧困をロマンチックに美化した物語よね」と感想を連れに語っています。7月王政下のパリ、カルチェ・ラタンで暮らす若い芸術家たちが、貧しさの中で恋をする・・・。確かに貧困がロマンティックな物語に仕立て上げられています。せっかく甘い涙に感傷的にひたっていたのに、このクールな感想を聞いて思わず苦笑いしてしまいました。イギリス人ってプッチーニを聞いたあとでも冷静なのね・・・。

Photo_3[ロイヤル・オペラ・ハウスに新しく増築された部分からはコヴェント・ガーデンが見おろせます]

コヴェント・ガーデンのオペラ・ハウスは円柱がそびえる堂々たる建物です。近年大改修がなされたと聞いていましたが、今まで一度も入ったことがありませんでした。張り切ってワンピースとハイヒールで出かけたのですが、マチネだったせいか、寒さのせいか、それほど着飾った人は多くなく、1階の平土間でもダウン・ジャケットとジーンズみたいな恰好の人が結構いました。うーん、若干、期待していたゴージャスさはありませんでしたが、存分に楽しんだコヴェント・ガーデンのオペラでした。

うめぞうは出発前、お母さんから「イギリス料理ってどんなものがあるの?」と聞かれて答えに窮したそうです。確かにロンドンではいつもフランス料理、インド料理、中華料理、モロッコ料理・・・など「外国料理」しか食べていなかったかもしれません。そこで今回はイギリスの田舎料理を売り物にしているお店をあえて探してみました。見つけたのは泊っているホテルから徒歩一分のBumpkin。日曜日に大きな肉をゆっくり焼いて楽しむ伝統的な家庭料理サンデー・ローストなどを売り物にしているレストランです。イギリス周辺の海から乱獲をせずに資源確保を考えて獲った魚、肉は放牧して草を食べさせた肉など、いわゆるビオの食材を使っているそうです。

Photo_4[Bumpkinの食事。手前がラムのロースト]

「たまにはステーキ食べたい」とうめぞうが数日前から言っていたのですが、かつての狂牛病騒ぎがあって以来、私はイギリスの牛肉をやや敬遠していました。でも一応、食の安全をうたい文句にしているレストランなら大丈夫だろうと思い、うめぞうには骨付き350グラムステーキを許可。私はこれまた伝統的なイギリス料理のラムのロースト。

Bumpkinはイギリスの田舎料理を都会でおしゃれな人たちが楽しむためのお店といった雰囲気です。経済バブルがはじけて、イギリスの人たちの間で、保守回帰、伝統回帰がちょっと流行しはじめているとか。「ツイードのジャケット着てハンティング」みたいなスタイルがファッショナブルとみなされるようになってきているという記事を先日読みました。このBumpkinもそんな流行に乗りそうな感じのお店です。

Photo_6[デーツとトフィーのプディング。重い!そして甘い。一口食べてからの写真ですみません]

"Country Boy"というロゴの入ったTシャツを着た若くてかっこいいウェイターが勧めてくれたプディングまで食べてしまいました。「すごーく甘いんだけど、お勧めだよ。二人で分けたらいいよ。すごーく甘いんだ、でもお勧め!」と言って、にっこり笑います。その素敵な笑顔は、牧草地が青々と広がるイギリスの田舎のきれいな景色を思い出させるようにさわやか。シナモン入りの温かいMulled Wineを飲んで350グラムのステーキをたいらげたうめぞうも満足そうでした。

« ケンブリッジ訪問 | トップページ | 雨のハイド・パーク »

コメント

まつこさま

イギリスレポート、楽しく(+うらやましく)読ませていただいています。

まつこさまご夫妻、オペラも造詣が深くてらっしゃるんですね。すごい。
私は職場の圧力にも関わらず、相変わらずオペラ音痴です。
コヴェントは改装直後、アンジェラ・ゲオルギュー+ロベルト・アラーニャの『ロメオとジュリエット』をたまたま見に行けたのですが、アンジェラが体調不良で急遽ドイツから代役が飛んできました。オペラはこういう突然の代役が多いですね。『ボエーム』後の英国人女性のクールなコメントは苦笑ですけれど、事故も無く舞台を満喫できて何よりです。

Bumpkinというお店、今度是非行ってみたいです!
お値段は? 「おしゃれな」というからには結構高めでしょうか?

ショウガネコさん、コメントありがとうございます。

ぜんぜん、造詣は深くありません。たいして予備知識なく見に行っただけです。猫に小判。でも大いに楽しみました。「事故」は今回もあったそうで、ヒロインの相手役のテノールが、怪我と風邪で二番手の人に交替していました。

昨晩はRSCの『十二夜』だったのですが、そちらもヴァイオラが代役でした。でも代役でもうまかったです。

Bumpkin、ちょっとお高めです。ポンドは下がりましたけど、食事はまだ割高感ありますね。特にチェルシー、ナイツブリッジ界隈で過ごすと、エンゲル係数の高い旅になります。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: コヴェント・ガーデンの『ラ・ボエーム』:

« ケンブリッジ訪問 | トップページ | 雨のハイド・パーク »