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2009年8月15日 (土)

妻が生き返ったら思わず逃げた!

まつこです。

日本で生活しているとお財布の中にだんだんいろんなカードが増えてきます。クレジット・カード、銀行のキャッシュ・カード、いろんなお店のポイント・カードなどなど。最近は、ロンドンにほんの数日滞在していてもカードが増えます。

Photo[これが毎日必ず持って出かけるカード]

まずホテルの部屋の鍵がカードです。図書館の入館証もカード。"oyster"という地下鉄やバスにタッチするだけで乗れるスイカみたいなカードもあります。さらに私の場合は、毎日2回ずつ母に電話するので、国際通話が安くなるカードも携帯しています。

この種のテレフォン・カードは様々な種類があり、どの方面への通話が安いかは各カードによって違うらしいので、「日本への通話料が一番安いカード」と指定して買います。携帯を使うか、フリーダイアルを使うか、公衆電話を使うかなどによっても値段が違いますが、5ポンドのカードで1時間以上は確実に通話できます。

今週、母のところに弟一家が帰省し、数日泊って行きました。息子夫婦や孫に大切にされて、毎日、母の声が明るく、遠く離れていてもとても心強かったです。今日はもう大阪に帰ってしまいましたが、「効果」はまだ続いているようで、その間の出来事をしっかり覚えていて、あまり同じ話題を繰り返したりせず、元気だった時と同じような口調で話していました。来週は母の姉(私の伯母)に泊まりに行ってもらうことになっています。海外に出るときは、後顧の憂えがないように、しっかりシフトを組んでおきます。今回は何か月も前から「8月2週目お願いね」とか「伯母さん、8月3週目お願いできないでしょうか?」と予約を入れておきました。

Photo_2[芝居が終わった時の劇場]

今日の夜は昨日と同じ劇場でシェイクスピアの『冬物語』を観ました。オールド・ヴィックという200年くらいの歴史を持つ古い劇場です。第二次世界大戦のときには空襲でだいぶ傷んだそうですが、それを修復して今日まで使い続けられています。古ぼけた外観、赤いビロードが擦り切れたイス、時代遅れのシャンデリアなど、そのままでレトロな映画のセットみたいな劇場で、古い昔の役者たちの亡霊が棲んでいそうな感じです。でも私はこの劇場、わりと好きです。

今日の『冬物語』と昨日の『桜の園』は同じ演出家、同じキャスト、同じスタッフによる二本立ての企画です。劇の始まる前、昨日も今日も同じ言葉が、舞台にプロジェクターで映しだされていました。"O, call back yesterday, bid time return".(「昨日を呼び戻し、時に戻ってくるよう命じなさい」、『リチャード二世』より)。過ぎてしまった時を悔やみ、取り戻せるはずのない時を思い続けるというのが『冬物語』と『桜の園』で共通するテーマです。

『冬物語』は、根拠のない妄想にとりつかれ、妻と子供を失った国王レオンティーズが、悔恨の16年を過ごすという内容です。サイモン・ラッセル・ビールは、これを神経症で弱い内面を抱えた男として演じていました。妻とそっくりに彫られた石の彫像が動き出すと、驚嘆のあまり動けなくなるというのが普通の演出ですが、今日のレオンティーズはその瞬間、思わず逃げ出し、この再会を仕切ったポーライナの背後に隠れてしまいそうになります。「男は弱い」というのが21世紀らしい解釈なのかもしれません。

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コメント

こんにちは、まつこさん。
なんで、「Oyster」なんでしょうか?「Suica」のようになにかゴロあわせでもあるんでしょうか??
お母様のこと、頼れるご親戚があって羨ましい限りです。
普段あまり来ない方の来訪があると、良い刺激になるようですね。
調子が良いようで、なによりです。

絵莉さん、コメントありがとうございます。

私も名前の由来、前から疑問でした。今、wikipediaで調べてみたら「貴重なパールを閉じ込めたまましっかりと口を閉ざしている二枚貝」のイメージからこの名前に決まったそうです。プリペイドのカードの安全性を伝えるためとか。

弟一家帰省の「効果」はそろそろ消え始めたようで、今日は2回の電話とも、「我が家との境目にある隣の家の柿の木がはみ出してきているのが気になる」という話が延々と続きました。世界の果てまで逃げていっても、柿の木の幻影に追いかけられそうです・・・。やれやれ。

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