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2009年8月13日 (木)

釣り合わぬは不縁のもと

まつこです。

今日のロンドンは、曇り、時々晴れ、夕方から時々雨。昼間はブリティッシュ・ライブラリーで仕事。夕方からナショナル・シアターでシェイクスピアの『終わりよければすべてよし』を観劇。今週中は物欲も食欲も抑えて、研究者のはしくれとして、毎日こんな生活を送る予定です。

ブリティッシュ・ライブラリーでは、1640年の古い版本の挿絵を一枚見たかったのですがダメでした。日本から前もってメールで問い合わせした時には、「来館してリクエストすれば当日中に見れます」という返事だったのに、実際はどこかの展示会に貸し出し中だそうです。ちょっとがっかり。

Photo[写真右端のコンクリート造りの無骨な外見の建物がナショナル・シアターです]

夕方はテムズ川を渡ってナショナル・シアターへ。パリのセーヌ川、ロンドンのテムズ川、フィレンツェのアルノ川など、街の中央を大きな川が流れていると街の景色がぐっと印象的になりますよね。東京でも私は神田川にかかる聖橋周辺の景色が好きです。日本橋の上をふさぐ首都高を地下に移設して景観を回復する、と石原知事が口にしたことがあった気がしますが、あの計画はどうなっちゃったんでしょう?

『終わりよければすべてよし』はタイトルだけはよく知られていますが、上演される機会はあまり多くない作品です。「問題劇」と呼ばれ厄介な作品とされています。「女が逃げる男を追いかける」というストーリーの展開が、そもそもロマンティックなコメディにはなりにくいのです。

今回は「金髪のおぼっちゃま君」を、「地味でしっかり者の女」が意志の強さと努力で追いかけて、とうとう最後に我が物にするという演出でした。もともとの戯曲でも身分が違うことになっているのですが、さらに演出で容姿も不釣り合いにしたわけです。全体はその「不釣り合いなカップル」というリアルな問題を、おとぎ話の世界の中に強引に入れ込んだ演出です。このバランスの悪さはおそらく意図的なのだと思います。地味なヒロインが赤頭巾ちゃんみたいな赤いマントを着て旅に出て、結婚式にはシンデレラみたいなキラキラ光るガラスの靴を履きます。他人になり済ましベッドに男を誘いこむときには子猫ちゃんに扮するコスプレ。

「終わりよければ」といってもやっぱりこのカップリングには無理があるよ・・・と、見ている人たちも、本人たちも薄々気づきながらのハッピー・エンディング。作り笑いのぎこちない笑顔で終わるというわけです。面白くないわけではないのですが、意地悪な芝居を見たという感想です。「釣り合わぬは不縁のもと」ってことなのね、やっぱり・・・などと思いながら、夜のテムズ川を渡って帰り道につきました。

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コメント

こんにちは、まつこさん
いいですね~、ロンドン。いつか行ってみたいです。
主にベーカー街あたりに・・・。
「終わりよければすべてよし」は、あんまり「終わり」も良くなかったんでしょうか?(^^;
現代なら、「そんな男はやめて、もっとしっかりした男性を見つける」って、なりそうな気がしますが。
なんか、そんな映画が最近ありましたよね。

絵莉さん、シャーロック・ホームズのファンなんですか?ホームズとワトソンの足跡を探して、世界中からファンがベーカー街にやってくるらしいですね。

昨日の苦い結末の『終わりよければすべてよし』は女性が演出したようです。男をおいかける女の意地を露骨に描くのは、やっぱり女ですね。この上演では他の男もみーんな「だめんず」という設定でした。時代を反映しているのかもしれません(?)。

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