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2009年4月 4日 (土)

ヴィンテージものの良さ:A Vintage Affair

まつこです。

Photo今日の新潟は曇り空ですが、庭にはいろんな花が咲いています。秋にまつこが植えたチューリップも花を咲かせ始めました。でもなんでこんなに寸詰まりなの?こういう種類なのかしら?

先日、シルバー人材センターの人が、庭木の冬囲いをはずしてくれました。シルバー人材センターの人への連絡や支払などは、今のところ母がやっています。いつか家や庭の管理が母にできなくなった時、このド田舎のでかい家をどうすればいいのか・・・。考え始めると気が重いのですが、あらかじめ心配しても仕方ないので、そのときはそのとき、行き当たりばったりでいこうと思います。ある程度の計画性は必要ですが、心配し過ぎず、あえて思考停止する、というのも親が老いてきたときの心構えのように思います。

Photo_2ケ・セラ・セラ・・・というわけで、現実から読書にいったん逃避。今回、往復の飛行機の中で読んだのは例によってお気楽な「女子文学」(chick lit)の1冊。Isabel Wolff(イザベル・ウルフ)のA Vintage Affair(『ヴィンテージ・アフェア』)です。イザベル・ウルフは、これまでもガーデン・デザイナー、ラジオの悩み相談のパーソナリティ、ペットのトレーナー、お天気キャスターなど、ちょっと個性的な職業についている女性を主人公にしてきました。今回の第8作目の主人公フィービーは名門オークション・ハウス、サザビーズでのキャリアを捨て、Village Vintage(ヴィレッジ・ヴィンテージ)という名前の小さな古着屋を始めたという設定です。

2009年の1月に出版された小説で、描かれている物語の設定も2008年2月から2009月2月まで。"credit crunch"(信用収縮)という言葉がたびたび出てきますが、金融危機のロンドンを舞台に、億単位の取引をする世界最古のオークション・ハウスでの輝かしい経歴から、小さな個人経営の古着屋へ転身というあたりが、時勢を巧みに反映している部分です。

このVillage Vintage(ヴィレッジ・ヴィンテージ)のウィンドウを飾るのは、フランスのプロヴァンス地方のアンティーク・マーケットで買ったコットン・ドレスのような名もないものから、1930年代のマダム・グレのドレープの美しいドレスや、1940年代から80年代にかけてのシャネル、ギ・ラロッシュ、カルダン、オジー・クラークなどなど様々なデザイナーの手がけた時代を反映するイヴニング・ドレスやスーツの数々まで。素晴らしいカットや布地の手触り、細かな仕立ての職人仕事など、その描写を読んでいるだけでうっとりします。

それぞれの古着にはそれぞれの歴史があります。かつてそれをまとった女性たちの古い物語と、新たにそれを着る現代の女性たちの今の生き方が、時間を超えて交差します。老いや死、友情の喪失、そして再生といった物語が、古く美しいお洋服の歴史とともに語られていくという趣向です。

おもしろく読んだのですが、この小説にまつこは一つ不満を感じました。それは主人公フィービーの周りに、優しくて、ハンサムで、お金持ちと三拍子そろった男が3人もいることです。物語の始まる前に付き合ってた元彼、この小説の中で出会って付き合う彼、小説の終わりに付き合いが始まる彼。物語の「始め」、「中」、「終わり」の3人の男が、いずれも金融危機を切り抜けて生き延びているエリート・ビジネスマン、ロンドンの不動産バブルからタイミングよく抜け出しフランスのシャトーのワイナリーを所有しているナイスミドル、おばあちゃんから遺産を相続したミケランジェロのダビデ像に似たハンサム青年・・・。こんなの、ありえねー!

女たちの痛ましい過去が癒される物語なのですが、傷ついた主人公を1人癒すのに3人ものパーフェクトな男性は過剰でしょう。ヴィンテージのお洋服が丁寧に補修され、新たな輝きを取り戻すというモチーフが繰り返し使われているのですから、多少くたびれた男とか、いささか難ありという男が、実は味わい深いヴィンテージものだったという展開にしてほしかった。その点がちょっと減点されて、うーん、星4つかな。

Photo_3[記事と関係ないけど庭に「つくし」も出ていました]

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