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2009年3月23日 (月)

馬の言葉

うめぞうです。

さて、一路、まつこはパリからロンドンへ。

まつこの話だと、フランスでも、今はさかんに英語が使われている由。フランス語なしでもまったく不便は感じなかったそうだ。うめぞうがドイツに住んでいた頃にはまだフランス人はあまり英語を使いたがらなかった。他方、ドイツ人は当時から英語が大好きで、外国人を見ると、こちらがドイツ語でしゃべっているのに、こっちのドイツ語がまずかったせいもあるだろうが、英語で答える人も多かった。ドイツ語が英語より通じたのはむしろチェコなど東欧諸国だった。

昔はドイツからフランスやイタリヤやオランダやベルギーに旅行すると、当然のことながらいちいち国境で検問があり、パスポートを見せ、通貨を換えなければならなかった。今では、あれっと思っているうちにアウトバーンの表示がドイツ語からフランス語に変わっていたりする。やはり国境のない世界は風通しがよい。

もともと人為的に設定した国境線などは、基本的な価値観や経済的社会的制度設計が共通していれば、意外に簡単に取り除けるものだが、そこにいくと言語の壁はそう簡単には越えられない。英語がかつてのヨーロッパ社会でのラテン語と同様、国際公用語としての地位を獲得していることは厳然たる事実だから、これは便利な道具としてこれからも使っていけばいい。しかしだからといってフランス語やイタリヤ語やドイツ語やスペイン語がすたれていくことはけっしてない。それに生物と同様、言語にも多様性が必要不可欠だ。世界には生物種と同様、絶滅が危惧されている言語がたくさんあるそうだが、これはやはり保護育成していく必要がある。

ところで皆さんは、フランス語、イタリア語、スペイン語、ドイツ語、英語のどれが好きだろうか。どれか一つこれから勉強するとすれば、どれをとるだろうか。

その昔、16世紀のヨーロッパに、カール5世という皇帝がいた。父方がオーストリアのハプスブルク家、母方がスペインの王家出身。当時もヨーロッパは国同士の争いが絶えなかったが、王様などはあちこちが親戚同士だった。カール5世のおばさんというのは、イギリスのヘンリー8世の1番目の奥さん。2番目の奥さんが、例のエリザベス一世のお母さんにあたる。この人と結婚するためにカールのおばさんとは離婚するわけだが、教皇はカールへの遠慮もあってこの離婚を許さず、これがきっかけでイギリス国教会が成立することになる。最初の奥さんの娘メアリーはエリザベスの先代の女王だが、カールの息子と結婚している。その関係でイギリスはカトリックに急接近、それへの反動で今度は国教会派のエリザベスの登場となる。以後、メアリーは悪玉、エリザベスは善玉ということでイギリス史が書かれていく。といった具合に、当時はビミョーな親戚関係で世界史の動きが大きく変わることがあった。日本でも戦前には、楠正成が善玉、足利尊氏が悪玉、という時代があったが、歴史とは勝者の歴史、という面はいなめない。新大陸発見、アメリカ建国、なんて歴史も、ネイティブアメリカンから見れば、もちろんまったく違うふうに見えるだろう。

さて、そのカール5世だが、育ちはフランドル、今のベルギーで母語はフランス語だった。しかし母方はスペインで、のちに自分もスペイン王になるから、スペイン語も一生懸命勉強した。弟はスペイン育ち。カール5世はその環境もさることながら、なかなか才能もあったようで、マルチリンガルな皇帝だった。一番好きだったのは母語のフランス語だったらしいが、フランスとはいつも敵対関係にあった。ところで、このカール君、いろいろな言葉について、次のようなことを言ったそうだ。フランス語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語の4つを次の言葉に入れていただこう。

「(A)は神に語りかけるための言葉、(B)は女性に語りかけるための言葉、(C)は男性に語りかけるための言葉、(D)は馬に語りかけるための言葉」

さて、正解はロンドンのまつこにお願いするとしよう。

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コメント

私もパリで声をかけられました(列車の行き先を訊かれた)。現地人オーラは全くなかったと思うのですが、なぜでしょう。もちろん、わからなかったので、「デゾレ」と言って肩をすくめました(ジェスチャーだけ現地人)。それにしても私はよく旅行先で道を訊かれます。サンフランシスコでも、そしてロンドンでも・・・。人畜無害そうに見えるからでしょうか。

この間私もパリにちょっと出かけてきましたが、パリでは確かにフランス語で話しかけても、英語で返ってくる確率が高くなっているような気がします。まあ、コメディ・フランセーズの売店に行って、流れているビデオを指さし店員に「これ、モリエール?」(店員)「はい」「ああ。パルル、パルル、パルル」とか言っている程度なので(あまりにもひどい。連れて行ってくれた著名な日本人戯曲家が苦笑してました)、どこにいっても見るに見かねて慣れない英語を頑張って試してくれるのでしょう。あまり良いサービスが見込めないパリにおいて、これだけは助かりました。

本日まつこさんとかみさんと一緒に芝居を観に行く予定であります。

小生も、うまれてはじめてドイツに行った最初のころに、ドイツ人から道を聞かれてびっくりしたこと、おぼえてます。日本人の感覚だと、まず、外国人に道を尋ねるなんてこと、しないですよねえ。
でもこれは、考えてみると、むしろ日本人が外国人に対していだいている偏見ですよね。外国人は日本語を話せない、外国人は日本を知らない、外国人は日本食を食べない・・・。うめぞうの幼少のころは、外国人はアメリカ人だ、というのまでありました。
だけどWombyさんに道を聞きたくなる気持ちはわかります。ぜったい、この人、親切な人だ、と分かるもの。

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