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2009年3月28日 (土)

ロンドンでフランス語

まつこです。

うめぞうが世界の飢えた人々について心を痛めているときにちょっと肩身が狭いのですが、今日もまたロンドンで食べたものの話から始めます。

フランスでも最近は多くの人が英語を話すようになりましたが、昨日、まつこはロンドンで英語が通じなくて苦労をしました。もう15年くらい前からお気に入りにしているサウス・ケンジントンのLa Boucheeというフレンチ・レストランでのことです。ここはレストランといっても、とてもカジュアルな雰囲気の小さなお店です。以前はカフェも兼ねていて、朝ごはんやお茶もいただけたのですが、最近はランチとディナーになったようです。

Photo[La Boucheeの外観。Old Brompton Rdに面した小さなお店です]

このお店では英語の勉強に来ている若いフランス人たちがよく働いています。昨日、私のテーブルに注文を取りに来てくれたのも、小柄で黒髪、洒落たデザインの黒い縁の眼鏡をかけている、一見してフランス人とわかる女の子でした。にこやかな笑顔でとても感じがいいのですが、どうも働き始めたばかりらしく、英語があまりできません。いちおう本人は英語で話しているつもりらしいのですが、まつこの耳で聞き取れるのは、"soupe du jour"とか"steak frites"とか"quiche"とか"cassoulet"とか、とりあえず知っている一般的なフランス語ばかり。「本日のスープって何なの?」と聞いたら、「えー、あー、そのぉー・・・ムニュムニュ」みたいな調子で立ち往生してしまいました。「ごめんなさい、ムニュムニュを英語でなんて言うかわかんないわ」と困り果てています。

Photo_3[中はこんな感じ。お客もフランス人が結構いるようです]

「それは野菜?」「じゃあ豆?」とかだいぶ追及してみたのですが、いっこうに埒があかないので諦めて、まあわからないけれどその本日のスープを試してみようということになりました。「スープ・ド・ジュール、シルブプレ」「ダコー」。様子を見ているとまつこの前のテーブルのご夫婦も、英語からフランス語に切り替えています。落ち着いたイギリス人中年カップルですが、きれいなフランス語を使っています。パリでは「もうフランス語できなくてもいいわね」と思ったのですが、「やっぱりフランス語できたほうがかっこいいわね。帰ったら勉強しなおそう」と、ロンドンの片隅で決意を新たにしたのでした。

Photo_4[やってきたスープはこれ。ビーツのスープでした。やさしい味でおいしかったです。あとでそのウエイトレスさんに頼んで綴りを教えてもらいました。Soupe de Betravesとお店のカードに書いてくれました]

コミュニケーション力不足のために、「本日のスープ」と「ステークフリット」という、最もありきたりの料理を選んでしまったのですが、両方ともおいしかったです。とくにフリットは熱々でからりと揚がっており、塩加減も薄めでちょうど良い。遅めの昼だったので、それほど混んでもいなくて、居心地もよく、すっかりくつろいだ気分になれました。

Photo_5[ステークフリット。写真撮る前にうっかり一口食べてしまいました。フリットがおいしい!]

夜はまた劇場へ。Kafka's Monkeyというフランツ・カフカの短編小説をもとにした一人芝居です。キャスリン・ハンターという女優さんが檻から出て人間社会に入るために人間を模倣する猿を演じます。猿という外部の目から観察した人間社会の閉そく性とか残酷さを描いています。言葉や体の動きが、猿から人間に徐々に変わっていく。その変化の違和感が、一人の女優の肉体と声を通してむき出しにされ、観客に突きつけられるという感じでした。暗くて残酷、だけどおもしろい芝居でした。

Photo_6[サザックのパブで乾杯]

一緒にいったwomby, cherry夫妻と、たまたま劇場で一緒になった演劇評論家のHさんと一緒に、芝居のあとは劇場の近くのパブでおしゃべり。今、ロンドンでは菊乃助が主役をやっている歌舞伎版のシェイクスピア『十二夜』の上演をやっています。Hさんはその歌舞伎上演のスタッフとしていらしたのだそうです。総勢150人での引っ越し公演はたいへんお金がかかるので、企業からの資金援助を受けているそうです。そういう企業の文化事業支援が、不況のため今後は難しくなるだろうとおっしゃっていました。文化事業もグローバル・ビジネスの一部となっている今日、芝居もオペラもミュージカルもバレエも美術も、これから津波のような世界同時不況の厳しさにさらされるのでしょう。金曜の夜のパブのにぎわいの中で、先行きの厳しさを懸念しました。

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