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2009年2月25日 (水)

遺伝子との付き合い方

うめぞうです。

「できまさる」友人の眼科医のことは前に紹介したが、この友人の話によると、遺伝子が、いろいろな病気の発生や寿命に及ぼす影響力は、これまで予測していた以上に大きなものらしい。とはいえ、この種の話には落とし穴も多いから要注意だ。

少し前に、夫婦関係の成功率を左右する遺伝子についての記事を読んだ。PNAS(米科学アカデミー紀要)電子版に載ったスウェーデンの研究者たちの研究というから信用できるものなのだろう。アルギニン・ヴァソプレシン(AVP)という脳神経伝達物質の受容体生成にかかわっているAVPR1Aという遺伝子の一部にRS3-334という塩基配列を2本持つ男性は、そうでない男性に比べて、離婚率、独身率ともにほぼ2倍だったという。

また、別のところで聞いた話だが、次のようなデータがあるそうだ。以下の条件を満たしている場合、その条件を満たしていない場合と比べて寿命はどれだけ伸びるか、という調査だ。ここはひとつクイズ形式で皆さんにも考えていただこう。以下の(  )の中に、次の数字のいずれかを入れていただく。ただし寿命が延びる場合は+の数字を、短くなる場合には-の数字を入れることにする。

+6、+4、+2、-2、-4、-6

1)週に5回、30分以上の運動を続けた人は、そうでない人と比べて(  )年長生きする。

2)独身者は既婚者と比べて(  )年長生きする。

3)年収1千万円以上だと、それ以下の場合に比べて(  )年長生きする。

4)大学院卒の人は、そうでない場合と比べて、(  )年長生きする。

5)祖父母が2人とも80歳を超えた人は、そうでない場合と比べて(  )年長生きする。

6)一日10時間以上眠る人は、そうでない人と比べて(  )年長生きする。

さて、うまく数字が入っただろうか。正解は末尾に記しておこう。

さて、そこで本題である。こうした研究は世界中で競うように行われていて、10年後、20年後には、髪の毛一本、血液一滴で、その人の将来の寿命から、離婚率、各種の病気の発生率などが、ある程度、統計的にはじき出せるという時代がくるかもしれない。いや、技術的にはすでに可能になっているのだろう。この進歩自身はおそらく止められないし、研究自体を禁止することには、うめぞうは反対だ。しかしそれだけに、この進歩とわれわれがどうつきあっていくかは、われわれの側でよほどの見識と覚悟をもって考えておく必要がある。知る勇気と同時に、知りえても、あえて知ろうとしない勇気もまた必要となるだろう。

特に気をつけなければならないのは、科学的データの読み方である。たとえば、ある遺伝子の塩基配列がAという特徴をもっていると、そうでない場合と比べてBという疾患が約2倍の確率で出現する、という科学的成果が出たとすると、新聞はすぐに「AがあるとBになる?」などと書きたてる。しかし通常、そこにはAという特徴とBという疾患の通常の出現率までは書かれていない。0.001%の罹患率が0.002%の罹患率になれば、たしかに2倍にはなっているが、それほどおそれる必要はない。そのほか、調査方法やサンプル数などにも注意が必要だ。上のAVPの話も、サンプルはスウェーデン人男性500人余りを対象にした調査にすぎない。しかも浮気は考察外である。はたして日本で、イタリアで同じ結果を得られるかどうか、はなはだ疑わしい。

もうひとつ重要なことは、人間の遺伝素質というのは、ほとんどの場合、ある環境に対しての個体の反応形式を規定しているだけで、環境そのものや、最終的反応結果を規定しているわけではないということだ。かりに肥満遺伝子というものがあったとしても、それは同じカロリーを摂取したときに、より多くのものが体内脂肪として蓄積される傾向を示しているだけで、その人が摂取するカロリーまで遺伝子が決めているわけでなない。結果として肥満になるかどうかは、まったく別問題なのである。

さて上のクイズの正解は1)+4、2)-6、3)-2、4)+2、5)+6、6)-4。

うめぞうが意外だったのは、眠りすぎがもつマイナス効果。年収も1千万をこえるのはどうもよくないらしい。ふむふむ。これはいけそうだ。遺伝子は変えられないとすると、やはり結論的には運動が長生きの秘訣か。

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コメント

うめぞう様、まつこ様
週末に引き続き平穏な日々をお過ごしでしょうか?

私は特別なことのない普通の日が大好きです。
子供の頃から遠足や運動会の日より、何もない淡々とした日が好きでした。

ところで、今日のクイズ。私が気になったのは、「独身者は既婚者と比べて-6年」です。私は独身なので・・・。
確かに、ひとりで長生きしても、大変なだけですし。長生きはしたくないけど、なるべく健康でいたいなぁと思います。

私もこのデータは気になりましたが、今では独身、既婚という分け方そのものがもう古すぎますよね。昔は、既婚者で子持ちという人が大部分だったため、独身者だと、ある時点から同世代の仲間と生活感や話題が合わなくなるということがあったと思います。でも今はシングルの人たちがずっと増えて、これからは夫婦や家族という単位ではない仲間作りがますます多様化し、豊富化するでしょう。独身男性でもこまめに料理をする人もいれば、女性でも高齢までバリバリ現役で働いている人もいます。家族形態も同棲、未婚+子供、同性結婚、独身+養子などなど、さまざまに広がるでしょう。そうなれば楽しいし、寿命の差もなくなるでしょうね!

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