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2009年2月13日 (金)

この人の亡霊に会いたい

まつこです。

先日、うめぞうが聖書についての記事を書いていましたが、うめぞうがイエスのように「復活」したら「まずはまつこに会いに来る」とのこと。でも我々俗人の場合は、「復活」ではなく「幽霊」とか「おばけ」というべきでしょうね。うめぞうのおばけはあまり怖くはなさそうですが、「ちゃんと野菜を食べろ」とか「運動不足はよくないぞ」とか、口うるさそうな気がします。

あの世から配偶者が幽霊になって戻ってきたという状況を、コミカルなドラマに仕立てあげた作家がいます。イギリスのノエル・カワード(Noel Coward)という劇作家が書いた『陽気な幽霊』(Blithe Spirit, 1941)です。カワードは男女の微妙な心理をウィットのきいた軽妙洒脱な会話で描くのを得意としていました。

Photo[劇作家ノエル・カワード、なかなか素敵でしょう?]

作家チャールズは一人目の奥さんエルヴィラを7年前に亡くしましたが、ルースと再婚し、執筆活動も順調で幸せな生活を送っていました。ところがある晩、小説の題材にしようと霊媒師を呼んで降霊会を開いたらエルヴィラの幽霊があらわれてしまいました。チャールズをめぐって、一人目の妻と二人目の妻の三角関係が繰り広げられることに・・・。

設定は荒唐無稽ですが、小気味よく繰り広げられるおしゃれな会話を通して、プライドの高い男女の心の中に隠れていた嫉妬や虚栄心が、滑稽に浮かび上がってきます。知的で成熟した二人目の妻ルースですが、実は、前の奥さんへのライバル意識が心の中にたっぷり隠れています。エルヴィラの亡霊が出てきてしまったのは、降霊会の前にチャールズにルースが先妻についてあれこれしつこく質問していたことが原因です。

ルース:「前の奥さんの方が私よりきれいだった?」

チャールズ:「そんな質問はつまんないし、どんなふうに答えてもその答えは間違いってことになるだろ」

ルース:「あら、子供っぽいのね。前の奥さんの方がきれいだったら、私が気にすると思っているの?」

チャールズ:「女はみんな気にするだろう。それとも女性心理についての僕の理解は古すぎるのかな。」

ルース:「古いって言うより、思考が単純なのよ。あなたが別の女性に魅力を感じたら、エルヴィラなら気にするでしょうけど、同じ欠点が私にも当てはまるとは限らないのよ・・・」

こんなふうに男女の恋愛感情の機微を巧みに描いたカワードですが、実は本人はゲイでした。劇作家でありかつ俳優。作詞、作曲もし、甘い歌声も残っています。そしてめちゃくちゃハンサムでめちゃくちゃファッショナブル。こんなノエル・カワードの亡霊が現れたら、甘くほろ苦い片思いをしてしまいそうだな、と思うまつこでした。

陽気な幽霊 [DVD]:デイヴィッド・リーンが監督した古い映画がDVD化されています。結末は舞台の芝居とはとちょっと違っていますが映画の脚本もカワードが書いています。

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