2017年8月15日 (火)

年々歳々

まつこです。

何百年も同じ風景がそのまま受け継がれているケンブリッジ。

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[8月はパントを楽しむ観光客でにぎわいます]

「年々歳々、花相似たり」

でもそのあとに続くのは、

「歳々年々人同じからず」

今回、聞いた残念なニュースは絵画教室のジャズミ先生(Mohammed Djazmi)が亡くなっていたこと。まだ60代だったと思うのですが・・・。イランから亡命してきて、生活のためにケンブリッジの風景画を描いて売ったり、絵画教室の指導をしたりしながら、イランの政治状況に対する抗議の痛切な思いをこめた暗い作品を描いておられました。

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[こちらはジャズミ先生の絵。先生のHPからお借りしました。他の絵もHPのギャラリーで見ることができます]

ケンブリッジ大学の建物の一つで個展を開催した際、それにあわせたトークの会には、盲目の息子さんも含めて家族の皆さんが来ていました。愛情にあふれたご家族の様子でしたが、目の見えない息子さんはお父さんの絵をどんなふうに想像しているのかな・・・と、複雑な思いも胸に去来しました。

ジュディたち教会のメンバーは、教会で追悼の会をしたそうです。若き日に亡命して以来、何十年もたっても、あくまでイランの政治をテーマにし続けていました。教会という地域コミュニティの一員として受け入れてもらいながらも、同時に最後まで故国を追われた異邦人でもあったのだろうと思います。

半年ほど通っただけの絵画教室での、ほんのささやかなご縁でしたが、鉛筆デッサンや水彩画の「きほんのき」だけではなく、いろんなことを考えるきっかけを与えてくれたジャズミ先生でした。

2017年8月13日 (日)

ゆったりとした時間

まつこです。

イギリス滞在5日目。不整脈やら不眠やらで体調を崩しているときに出発し、そこに時差と気温差も重なり、心も体もやや低空飛行。

そんな私を温かく迎えてくれるのは、ケンブリッジの友人ジュディとトム。

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[ゴールデン・リトリーバのデーアと雑種のフランク]

旅行中の息子一家の犬フランクと、ご近所の友人の犬デーアを預かっている最中です。そこにさらに私も転がり込み、中高年三人と犬二匹の生活です。

今年のイギリスの8月は寒くて雨が多いのですが、いったん晴れればこのように美しい庭で、お茶を飲み、おしゃべりします。

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[リンゴ、トマト、インゲン豆、ズッキーニ・・・]

庭の奥の生垣の向こうは菜園です。ここで採れた野菜や果物が、そのまま食卓にのります。私はジュディに教えてもらいながらお手伝い。「インゲン、採ってきて」「リンゴ剥いてちょうだい」・・・まな板は使わずに、小さなナイフでなんでもやります。

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[採りたてのインゲンを少めのお湯で茹でバターで和える]

ちょっと傷んだリンゴでも悪い部分を切り落として使う。農薬使っていないからちょっと洗うだけ(ほとんど洗わない)。切り落とした皮や傷んだ部分はコンポストへ。一つ一つが私には新鮮な経験です。

ジュディの家事はけっこう大雑把なのですが、そこには性格の大らかさが表れています。毎日、庭仕事や畑仕事をせっせとやり、よく笑い、よく話し、客人は温かく迎える。この家ではゆったりとした時間が流れています。

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[水曜日には雨漏りしちゃったけど、それでも絵本のように素敵な家]

いろいろ図書館でやる仕事の計画も立ててきたのですが、仕事なんて放り出し、この家でのんびりさせてもらって英気を養おうという気持ちになってきています。

2017年8月 8日 (火)

旅支度

まつこです。

明日からイギリスです。今回は2週間とそれほど長くなく、しかもほとんどケンブリッジに滞在するので、服装計画はシンプルそのもの。

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[これだけ]

ニコル・ファリのレザー・ジャケット、ジョゼフの薄手ニット2枚とカーディガン、ラルフ・ローレンのデニムのワンピース、ジェイムズ・パースの薄手ニット・ワンピース、ボトムスは黒とデニム各1本、ストラネスのスカーフ、以上。

服はシンプルなんだけど、ごちゃごちゃしているのがこれ・・・

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[ごちゃごちゃケーブル]

ノートPC、iPad、スマホのためだけに、いくら絞り込んでもこれだけケーブルが必要。

今回はヨーロッパでの滞在がないので、電源アダプターの方はイギリスのヘンテコな形に合うのが一つあれば、あとはテーブルタップで大丈夫。

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[正規品ではないので、500円くらいだったと思う]

役に立つのがこれ。図書館にPCを持ち込んで仕事をするときアダプターまで持っていくのは面倒ですが、これがあれば大丈夫。

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[これが・・・]

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[こうなる]

これApple社の正規品は、全世界で使えるよう、いろんな形のがセットになって3000円以上します。でも実際にしょっちゅう使うのはイギリスのだけ。イギリスのAmazonで見つけて安く購入しました。

ただしどうにも厄介なのがUSB。

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[なんでいちいち形が違うの!]

「えーっと、デジカメからPCに写真とりこむにはどれがいるのかな・・・マイクロUSBとUSB Type-Cかな・・・」なんて考えると、ケーブルと同じように頭の中がごちゃごちゃになりそう。

USBの「U」って「ユニバーサル」じゃないの? そうイヤミのひとつも言いたくなります。「真の普遍性」とは、なかなか容易なものではないようです。

2017年8月 6日 (日)

へそまがり書評

まつこです。

前からうすうす気がついていたけれど、私ってもしかして天邪鬼かも。

多く人のが「いいね〜」と感動するものに対して、「うーん、どこがいいのかなあ」としらけた反応をしてしまうことがあります。今回はこれ・・・

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[第157回直木賞受賞作。岩波書店初の直木賞。装丁がたいへん美しい]

佐藤正午の『月の満ち欠け』。61歳ですでに以前から手堅い手法が高く評価されている作家の作品だし、斎藤美奈子もほめていたから、思い切り楽しむつもりで手にとりました。でもイマイチのりきれなかった。残念。

なんで楽しめなかったか自分なりに分析してみると、女の子がかわいくないから。月がなんども満ち欠けを繰り返すように、何回も生まれ変わって自分の思いを伝えようとするというストーリーなのですが、その思いを託された女の子たちが妙に女くさい。子供のくせに執念深い目つきで、おじさんを追い求めるって、これは少女に思いを寄せられたい中年男の願望の裏返しなんじゃないか・・・と。

私はそもそもファンタジー系のものが苦手で、社会現象にすらなっているアニメの『君の名は。』にも、ぜんぜん心揺れませんでした。へそまがりなのかもしれません。

でも大絶賛、賞を総なめ、と世間が盛り上がっている時にこそ、違う意見を言えるささやかな勇気は必要です。天邪鬼けっこう。へそまがりでけっこう。だから、あえて言いましょう。星2つ。(満点は5)

2017年8月 4日 (金)

夏が来ない

まつこです。

8月にはいってもずっと梅雨のような曇天つづき。どうも気分が上がりません。

対策1:ベランダのプランターにひまわり植えてみる。

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[夏休みといえばひまわり]

でも1週間ぐらいで花びらがしぼみ始めてしまいました。次の花の芽が出始めているので、それが咲くのを楽しみにしましょう。

対策2:ラジオ体操に参加する。

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[夏休みといえばラジオ体操]

でもうちの近所のラジオ体操は7月中だけ。小雨まじりとか曇り空とか、もうひとつ盛り上がらずに終わってしまいました。

対策3:宿題をする。

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[夏休みといえばサルスベリじゃなくて・・・宿題]

春学期の成績を提出したら、即刻秋学期の準備にとりかかるべし!さあ、今日からやろう。

それにしても、入道雲の出ている夏の青い空が待ち遠しい今年の8月です。

2017年7月29日 (土)

映画3本

まつこです。

すでに小学生も夏休みなのに、大学生は試験期間で、大学教師は夏バテしながら答案の山と格闘中です。

そんな蒸し暑さと忙しさの中、映画3本立て続けに見ました。

1本目はイギリス映画Suffragette。『未来を花束にして』という口当たりの良い邦題になっていますが、女性参政権を求めて闘った20世紀初頭のロンドンの女性たちを描いた歴史もの。

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[ ヘレナ・ボナム・カーター、アンヌ・マリー・ダフらイギリス俳優たちがそろって好演]

イギリスの女性参政権運動の中心的リーダーは、自分たちに参政権が認められないことに疑問と不満を抱いた上中流階級の女性たちでした。ですが、そんな政治意識を持つ余裕などなかった労働者の視点から描かれているのが、この映画の面白さです。子供の時から洗濯工場の劣悪な環境で働き続けている女性が、家庭の幸福を犠牲にして、過激な運動の闘士へと変貌していきます。

迷いつつ突き動かされていく主人公と、その愚直な夫を、キャリー・マリガンとベン・ウィショーが好演。でも、運動のカリスマ的リーダー、エメリン・パンクハースト役でメリル・ストリープをちょっとだけ登場させたのは、いかにも「客演大スター」みたいで興ざめ。がんこなおばちゃん役ならぴったりのイギリス女優がいくらでもいるのに・・・。

2本目はドイツ映画Toni Erdmann『ありがとう、トニ・エルドマン』。私、いちおう、文学作品や演劇を解説することが職業の一部なんですが、この映画の面白さを言葉で語るのはあきらめます。あまりのおかしさに、涙でマスカラが落ちるほど笑ったのですが、そのおかしさを説明できない。完敗(?)です。

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[手前の毛むくじゃらの後ろ姿がエルドマン]

ドイツ映画らしくテーマは内面的で「人間らしく生きることとはなにか」といったことなのですが、実質主義のものづくりが得意なドイツらしく、「重量感たっぷりの土臭い笑い」がこれでもかというほど満載です・・・

と、こう書いてもなんのことか、さっぱり伝わらないでしょ・・・。タイトルのErdmannとは、Erde(土)とMann(人)を組みあわせた名前。途中で登場する得体の知れない「土人」が、わけわかんないけどおかしいというこの映画のシンボルです。

3本目はフランスを舞台にしたアメリカ映画、Paris Can Wait『ボンジュール、アン』。「人生の岐路に立つ大人の女性」のための映画という謳い文句ですが、フランスの美しい景色、おいしそうな料理、ほのかなロマンスの気配という、中年女性の願望と妄想をほどよくくすぐる娯楽映画です。

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[『リトル・ロマンス』の美少女も今は52歳。でもやっぱりきれい]

ぽにょ:「ダイアン・レイン、やっぱりきれいだったね」
まつこ:「でもシワ、隠してないね。シミはなかったけど。あとからでもシミは消せるからね」
ぽにょ:「デジタルだからね。あのバッグ、どこの?グッチ?」
まつこ:「エンド・クレジットにトッズってあったよ」
ぽにょ:「柔らかそうな皮のバッグだったね。使えそう」
まつこ:「でも皮のトートって、見た目より重いよ。あのパンツ、おもしろいデザインだったね」
ぽにょ:「ちょっとずんぐり見えたけど」
まつこ:「だから厚底のサンダル履いてたよ」
ぽにょ:「Americans have to have a reason for everythingって言っていたけど、そのとおりだよね」
まつこ:「そうそう。ま、全体にアメリカ人のフランス文化コンプレックスを描いだ映画だね」
ぽにょ:「ダイアン・レイン、シワだらけだったね」
まつこ:「きれいだけどシワあったね」(振り出しに戻る)

映画を見終わった後、おいしいものを食べながら、このようにとことん気楽なおしゃべりをするのにぴったりな映画でした。

2017年7月 9日 (日)

うめぞうの誕生日

まつこです。

7月4日はうめぞうの誕生日。68歳。しかし年をとると誕生日の祝い方もぐっと地味になってきます。

「プレゼント? 特にほしいものないよ。」「外食? 家でゆっくり食べるほうがおいしい。」

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[自作自演?の誕生日]

私も忙しい平日だったので、カードは駅ナカのソニプラ、プレゼントは駅にくっついているリラクゼのギフト券。帰宅途中であわただしく調達し帰ってみると、あらま、びっくり!

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[ちらしずし]

うめぞう、自分でお祝いのちらしずし作っていました。

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[アジフライも]

近所の魚屋でアジを三枚下ろしにしてもらい、アジフライまでお手製。ベランダの青じそをとってきて、衣に入れるという芸の細かさです。

あと2年で退職のうめぞう。退職後は専業主夫として、料理の腕を上げたいと、誕生日の抱負を語っていました。

そのうめぞう、週末にかけては沖縄に出張。帰ってきたらこんな姿で、またびっくり。

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[アロハシャツで帰ってきたうめぞう]

暑さで着て行ったものが汗だくになり、当地でアロハシャツを買って着替えたそうです。もともと地黒で東南アジア系の顔立ちなので、まあ、よく似合うこと・・・

68歳になっても、70代になっても、うんとおじいさんになっても、このまま愉快な驚きと笑いを提供し続けてほしいものです。

2017年7月 2日 (日)

1日1万歩

まつこです。

この2年ほどで3キロ以上増えてしまった体重。ここでなんとか食い止めたい!「1日1万歩と夕食の糖質制限」と目標を設定したら、10日ほどで1キロ半減。な〜んだ、簡単じゃない、と思ったものの、そこで気を許したらまた元通り・・・。うーむ。

「1日1万歩」というのがけっこう難しいのです。普通に通勤していると7千歩前後。1万歩をめざすとなると、6階のオフィスまで歩くとか、一駅手前で電車を降りて歩く、というような工夫をしなければなりません。しかし、ピンヒール、ポインテッド・トウのパンプスでこれはちょっときつい。

そもそも年齢にともない足の筋肉が落ちるため、ヒールで歩くのが辛くなってきます。同世代の友人たちもだんだんとコンフォート・シューズっぽい靴を履くようになってきました。私もいよいよコンフォート・シューズか・・・(嘆息)

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[3足まとめて大人買い]

フランスのコンフォート・シューズのアルシュのは、色がきれいだったり、デザインも細めですっきりしています。派手目のおばあちゃん靴みたいなのもありますが、すっきりしたデザインのを選べばあまり年寄りくさくはなりません。

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[archeのシンボル・カラーは赤]

以前買った迷彩柄のバレエ・シューズが、なかなか使い勝手が良かったので、セールの機会に3足まとめて買ってしまいました。

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[少しだけヒールがある方が歩きやすい]

アルシュの靴は底が吸収性の良いゴムで、本体がとても柔らかいヌバックです。あまりに履きやすいので、これにいったん慣れてしまうと、なかなかハイヒールにはもどれなくなります。

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[やけのやんぱち。この日買った4足目]

スーツを着た日も1万歩を歩けるように、ポインテッド・トウのフラットシューズもお買い上げ。こちらはChemburという日本のメーカーです。日本のメーカーの靴は、幅が広くて前に足がすべり落ちて、かえって歩きにくいというものも多いのですが、こちらはフラット・シューズなので大丈夫でしょう。

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[通勤途中の並木道は今、紫陽花が満開]

ハイヒールを諦めてコンフォート・シューズを履くのは、ある種の「断念」でもあります。シャルル・ジョルダン、ブルーノ・マリ、ペリーコなどなど、かつてカツカツと高らかに音を鳴らして7センチヒールで闊歩した若き日は、遠ざかりつつあります。

今は出勤時にカツカツ威勢よく出かけても、帰宅時にくたびれはてて最寄駅からタクシーということもしばしば。でも、たまにはハイヒールも履き続けたいという「意地」も残っています。「断念」と「意地」が下駄箱の中でせめぎあっています。

2017年6月24日 (土)

見せる?隠す?

まつこです。

また、やっちゃった・・・。

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[先取りセール、という言葉にのせられ・・・]

この季節によくありがちな、「プレセール」とか「先取りセール」のご案内。つられて出かけてはみたものの、買ったものといえば定価商品ばかり。いつもこのパターン。「お得意さまに特別」という甘言にのって、結局は散財。

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[全部、定価でお買い上げ]

ラルフ・ローレンでは「秋物」のワンピースとニット。シャネルの口紅など、どれもセールとは無関係。

で、今回、思わず笑っちゃったのはコレ。

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[高島屋の袋の中に、オレンジ色の包み]

誕生日のプレゼント用に、2月にお取り寄せを頼んでおいたスカーフがようやく入荷。「忘れた頃のエルメス」です。このスカーフも涼しくなるまでは出番がなさそう。

で、笑ったのは、買った物を入れる袋。

対応してくれた男性の店員さんに、「こちら、高島屋の袋にお入れしましょうか?」と聞かれました。

まつこ:え?エルメスの袋じゃないんですか?
店員さん:いえ、エルメスの袋は中に入れます。目立たないようにして、とおっしゃるお客様も多いものですから。
まつこ:夫にバレないように、ですか?
店員さん:ご主人という場合もありますし、ご近所の方に見られたくない、という方も多くおられるんですよ。

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[やっぱりこっちの方が気分があがる]

ごくごく、たま〜にしか行かないエルメス。せっかく行ったらオレンジ色の袋を手に、意気揚々と歩きたい!そう思いませんか?

しかしそうは思わない、慎ましやかな女性たちも多いようです。わざわざデパートの袋でカモフラージュして、こっそりエルメスを持ち帰る。うーん、周囲から突出することを極端に避けるムラ社会の掟でしょうか。

「見せる派」と「隠す派」、あなたはどちらですか?

2017年6月18日 (日)

本郷中央教会

まつこです。

マルティン・ルターが「95カ条の論状」で、宗教改革の火蓋を切ってから500年。ドイツのヴィッテンベルクでは大々的な記念行事が行なわれているようです。

今日は東京の本郷中央教会でもささやかな記念のコンサートが催されました。

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[建物は登録有形文化財だそうです。写真は教会のFacebookより]

この教会は『三四郎』の終盤にも出てきます。三四郎が借りた金を返し、嫁いでいく美禰子への恋心を断ち切る場面です。自分に想いを寄せていたウブな青年に向かって最後につぶやく、「我はわが咎を知る。わが罪は常にわが前にあり」という言葉は、『旧約聖書』の詩篇の51章です。インテリ女性美禰子らしいキザなセリフではありますが、田舎出の若者の淡い恋をかきたてたことが、女の「原罪」とされてようで、気になる部分です。

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[教会の内部。建物の2階が礼拝堂になっています。立派なオルガンもあります。写真は教会HPより]

漱石の時代の建物は関東大震災で壊れてしまい、現在の教会は1929年に建てられたものです。この再建の際に購入したらしい1929年製のスタインウェイのピアノの音を聞く、というのが今日のコンサートの趣旨でした。

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[こちらが90年前のスタインウェイ。直しながら長く使われ続けているピアノです]

演奏してくれたのは山田康弘さんというオルガンやピアノの演奏家です。音楽家特有のジストニアという病気になってしまい、右手が不自由なのだそうですが、リハビリを続けながら演奏活動をなさっているそうです。

山田さんは演奏の前に楽曲の解説をしてくれました。平均律クラヴィーアで「十字架」をバッハが4つの音で表そうとしたことや、ベートーヴェンの「熱情」の出だしの和声がとてもわかりやすいことなど。「複雑に響く古典音楽の中に単純なものが含まれている。それは聖書と同じ。わかりやすい物語の中に、複雑な教えがある」と語っておられました。

演奏はときとして、手の不自由さを感じさせるものでしたが、誠実に演奏する姿勢の中に、音楽への愛や敬虔さが感じられて、宗教改革500年の記念行事にふさわしいコンサートでした。

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